OUR APPROACH

アプローチ

変異ミトコンドリアを選択的に除去する ── 新しいモダリティで、根本的治療に挑みます

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1. THE PROBLEM

根本治療薬のない難病、ミトコンドリア病

ミトコンドリア病は小児の先天性代謝異常症で最も多い疾患です。希少疾患ゆえに製薬会社の開発が進まず、患者さんとご家族は予後不良のまま取り残されています。

01

希少難病で製薬会社の関心が低い

患者数が少なく、大手製薬の開発優先度が上がりにくい。

02

根本的治療薬が存在しない

対症療法のみで、原因である変異ミトコンドリアDNAに働く薬はない。

03

他社の開発も対症療法に留まる

臨床試験中の候補は代謝改善など対症的な作用機序に留まる。

04

予後不良で病勢が進行する

生活の質が低下し、不幸な転帰に至る。

05

家族の負担が大きい

長期の介護・看護負担が患者家族にのしかかる。

私たちの答え

原因そのもの──変異ミトコンドリアDNA──を認識し、変異ミトコンドリアだけを細胞から取り除く。遺伝子を書き換えるのではなく、「除去する」治療です。

2. MECHANISM & EVIDENCE

変異ミトコンドリアだけを選択的に除去し、エネルギー産生を回復する

PIP-TPPが変異ミトコンドリアDNAを認識し、マイトファジー(細胞が不要なミトコンドリアを自ら分解する仕組み)で除去して、細胞のエネルギー産生を回復させます。

  • 化合物がミトコンドリアへ迅速に局在
    PIP-TPPは変異配列(m.3243A>G)を認識するDNA結合化合物。細胞内で速やかにミトコンドリアに集積する。
  • 変異ミトコンドリアで一過性のROS上昇 → マイトファジー誘導
    変異mtDNAを持つミトコンドリアのみでROS(活性酸素種)が一過性に上昇し、細胞内自然免疫を介したマイトファジーが起こる。
  • 変異mtDNAが減少し、呼吸機能が改善
    変異mtDNA比率の低下と酸素消費速度(OCR)の回復を確認。正常ミトコンドリアには影響しない。代償的に総ミトコンドリア数が増加する。
疾患細胞内の変異mtDNA除去による治療戦略:変異ミトコンドリアを持つ病的細胞がマイトファジーを経て機能改善した細胞になる模式図
疾患細胞内の変異mtDNA除去による治療戦略。wt mtDNA:正常ミトコンドリアDNA、mut mtDNA:変異を持つミトコンドリアDNA

MELAS患者細胞で有効性を、マウス・霊長類で安全性を確認

MELAS患者由来細胞における変異mtDNA比率の低下(ddPCR)と酸素消費速度OCRの改善(Seahorse解析)
有効性(MELAS患者由来細胞):変異mtDNA比率は投与群で経時的に低下(左・ddPCR)、酸素消費速度(OCR)は投与群で上昇(右・Seahorse解析)。グラフは初期化合物CCCh-560-TPPによる検証。
安全性(非GLP毒性試験)投与条件結果
マウス単回/週2回×8回毒性なし
カニクイザル(幼若)週2回×4週毒性なし

自社データ(順天堂大学との共同研究)。GLP毒性試験に向け、PMDAとのRS戦略相談・事前面談を実施済み。

出典:H. Nagase et al., Cancer Science, 2021, 112(12), 4834-4843/N. Koshikawa, H. Nagase et al., Biochem Biophys Res Commun, 2021, 576, 93-99/N. Koshikawa, H. Nagase et al., Cancer Science, 2021, 112(6), 2504-2512.

3. LEAD INDICATION

先行対象:MELAS ── ミトコンドリア病の3分の1を占める進行性の難病

ミトコンドリアDNA変異によるエネルギー代謝の先天異常。小児期〜若年成人期に発症し、根治的治療法がありません。私たちはここから始めます。

国内
約800〜1,000人

ミトコンドリア病患者(約3,600人)の約3分の1がMELAS。その約8割が m.3243A>G 変異を持ちます。

主要7か国
約2.1万人

米・英・独・仏・伊・西・日の有病者数(2024年、GlobalData)。2028年には約21,235人と予測されています。

位置づけ
ミトコンドリア病の
約3分の1

ミトコンドリア病は小児の先天性代謝異常症で最も多い疾患。MELASはその代表で、進行性かつ予後不良です。

疾患名MELAS:Mitochondrial Encephalomyopathy, Lactic Acidosis, and Stroke-like episodes(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群)。指定難病21「ミトコンドリア病」
原因変異ミトコンドリアDNA変異では m.3243A>G が最多(当社開発品CCC-018-TPPの標的)。正常と変異ミトコンドリアが細胞内に共存する「ヘテロプラスミー」が特徴で、変異の割合が上がると発症します
症状・経過小児期から若年成人期に発症し、脳卒中様発作、てんかん、筋力低下、難聴、糖尿病など多彩な症状を呈する進行性疾患。重症例では生命予後を著しく損ないます
治療の現状根治的治療法がなく、対症的治療に留まります(日本ではタウリンのみ承認)。臨床試験中の他社候補(13化合物)もいずれも対症療法で、原因であるミトコンドリアDNAの異常を取り除く治療法は開発されていません

出典:MELAS Syndrome: Competitive Landscape, GlobalData, 2024/厚生労働科学研究「ミトコンドリア病の調査研究」/ミトコンドリア病診療マニュアル2023 ほか。患者数は概数です。

4. EXPANDING INDICATIONS

一つの技術で、ミトコンドリア病からがんまで

私たちの技術が届く範囲は、3つの段階で広がります。まず、治療法のない病気の患者さんへ。次に、同じ仕組みで治せる病気へ。そして将来は、より身近な病気へ。

STEP 1

MELAS

約2.1万人主要7か国

原因であるミトコンドリアDNAの変化そのものに働きかける薬はまだありません。先行開発品 CCC-018-TPP で、ここから始めます。

STEP 2

ミトコンドリア病全体

約18万人

リー脳症、MERRF、LHONなど、ミトコンドリアDNAの変化が原因となる病気は数多くあります。化合物は変異に合わせて設計できるため、同じ考え方で広げていけます。

STEP 3

同じ変化が関わる身近な病気

糖尿病の
約100人に1人

MELASの原因変異は糖尿病の約1%、難聴の一部にも関わります。がん細胞でもミトコンドリアの変化が知られており、病的細胞を標的にした治療へ展開します。

患者数は調査会社の公開値(IMARC、DelveInsight)および学術文献(GeneReviews ほか)にもとづく概数です。

Step 2:ミトコンドリアDNA変異を原因とする超希少ミトコンドリア病

MELAS(m.3243A>G)以外にも、異なる変異を持つ多くのミトコンドリア病があります。同一のモダリティで根治薬の開発が可能です。

病名(略称)代表的変異部位関与遺伝子主な臨床症状・病態当社の取り組み
MELAS(脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作)m.3243A>G, m.13513G>A などMT-TL1(tRNALeu(UUR))脳卒中様発作、てんかん、感音性難聴、糖尿病、乳酸高値CCC-018-TPP 開発中
MERRF(ミオクローヌスてんかん・赤色ぼろ線維)m.8344A>GMT-TK(tRNALys)ミオクローヌスてんかん、小脳性運動失調、筋力低下、赤色ぼろ線維開発予定
Leigh症候群(LS)m.8993T>G/C, m.10191T>C, m.13513G>A などMT-ATP6, MT-ND3, MT-ND5 等乳幼児期発症の中枢神経変性、乳酸アシドーシス、呼吸異常開発予定
NARP(神経衰弱・運動失調・網膜色素変性)m.8993T>G/CMT-ATP6視力障害、末梢神経障害、筋力低下(LSとの重なり)開発予定
Kearns-Sayre症候群(KSS)mtDNA大欠失(常に数kb)複数遺伝子欠失外眼筋麻痺、網膜変性、心伝導障害、成長障害—
CPEO(慢性進行性外眼筋麻痺)大欠失またはtRNA変異(MT-TK 等)複数外眼筋・顔面筋麻痺、軽度筋症状、成人発症型—
LHON(レーバー遺伝性視神経症)m.11778G>A, m.3460G>A, m.14484T>CMT-ND4, ND1, ND6青年期視力喪失、視神経萎縮。主に男性に多い開発可能
Pearson症候群大欠失(3〜8kb)複合体I, IV関連領域乳幼児期発症、骨髄障害、膵外分泌不全、成長障害—
ND遺伝子群変異(Complex I defects)MT-ND1–ND6NADH脱水素酵素サブユニット群脳症・筋症の複合型(MELAS/LS様)表現型—

Step 3:がんでは腫瘍細胞と周囲環境の両方に効く

多くの転移性がんでは全てのミトコンドリアが変異しています。同じ化合物(がん向け開発品 CCCh-560-TPP)で腫瘍細胞を破壊しつつ、周囲の疲弊した免疫細胞も回復させます。

正常細胞

影響なし(選択性)

変異ミトコンドリアがないため、ROSは増えません。

腫瘍細胞

細胞死を誘導し、がん免疫を活性化

全てのミトコンドリアでマイトファジーが誘導され、ROSが過剰に蓄積して酸化ストレスに陥ります。がんでは内因性の抗酸化物質が枯渇しているため耐えられず、壊死した細胞から腫瘍抗原が放出されます。

腫瘍周囲細胞

疲弊した免疫細胞が回復

緩やかに取り込まれ、マイトファジーにより変異ミトコンドリアが除去されます。疲弊した周囲細胞・免疫細胞が回復し、がんを取り巻く環境が変わります。

動物モデル(ヒトがん細胞移植マウス)で確認できたこと

  • がん細胞の特異的な破壊 腫瘍細胞は壊死し、病理学的に腫瘍細胞を認めず
  • 化合物はがんに集積 静脈投与後、腫瘍特異的な集積を確認
  • がん周囲環境の変更 T細胞の疲弊を回避し、腫瘍免疫を活性化
  • 実験動物は健常 腫瘍が縮小する一方、体重は維持
期待される臨床的価値
標準治療(化学療法)への上乗せ効果/化学療法が効かなくなった患者さんにも効果の可能性

出典:J. Yao, H. Nagase et al., Int J Cancer, 2022, 152, 962-976/K. Tsuji, H. Nagase et al., Cancer Science, 2022, 113(4), 1321-1337/自社データ(順天堂大学との共同研究)

ミトコンドリア関連疾患 ── 様々な病態・疾患に関与

ミトコンドリアの異常は、脳・神経、筋、眼、耳、心臓、代謝・内分泌、腎、肝、消化管、生殖、血液・免疫など全身の病態に関わっています。糖尿病、難聴、加齢疾患、生活習慣病などへの展開を見据えています。

脳・神経

脳症/けいれん・発作/脳卒中様発作/運動失調/片頭痛/認知機能低下/末梢神経障害/パーキンソニズム

筋

筋力低下/易疲労・運動不耐/筋けいれん/ミオパチー

眼・耳

視神経症/視覚障害/網膜色素変性症/難聴

心臓

心筋症/伝導障害/不整脈

代謝・内分泌

糖尿病/乳酸アシドーシス/低身長/甲状腺機能障害

腎・肝・消化管

腎機能障害/尿細管障害/肝疾患/消化管運動障害/吸収不良/下痢

生殖・血液・免疫

不妊/早発閉経/貧血/免疫異常

がん・老化

がん(悪性腫瘍)/加齢に伴う変化

5. DIFFERENTIATION

既存アプローチにはない「選択性」

ROSを下げる抗酸化剤とも、無差別に上げる酸化誘導剤とも異なり、変異ミトコンドリアを持つ細胞でのみ作用します。

抗酸化剤/ファイトケミカル
抗酸化剤・酸化物質抑制剤

  • ROSの低下
  • 腫瘍周囲細胞への関与は低い
  • 主に細胞増殖抑制で、細胞死・細胞溶解を示さず疾患細胞が残存
  • がんでは腫瘍免疫の活性化誘導が弱い
  • T細胞の疲弊を改善しない
  • 副作用は起こしにくい

酸化誘導剤
抗酸化物質抑制剤・活性酸素種産生促進

  • 正常細胞にもROSを誘導
  • 疾患周囲細胞に悪影響
  • がんではフェロプトーシスやアポトーシスを誘導
  • 腫瘍免疫を活性化しない
  • T細胞の疲弊を促進
  • 副作用発生の可能性

当社の化合物(PIP-TPP)
変異ミトコンドリア除去による疾患の根本治療

  • ROS過剰産生を変異ミトコンドリアを持つ疾患細胞のみで誘導
  • DNAを傷つけずに変異ミトコンドリアDNAを除去
  • 疾患周囲環境も改善
  • T細胞の疲弊を回避し免疫を活性化(がんでは細胞破壊によるがん免疫の活性化)
  • 霊長類を含む非GLP毒性試験で毒性を認めず

安全に根本的病因を除去、全身をリフレッシュ

臨床開発が進んでいるミトコンドリア病治療薬候補 ── いずれも対症療法

開発段階作用機序薬剤名開発会社国・地域
臨床第Ⅲ相Arachidonate 15-lipoxygenase 阻害/NQO1 活性化vatiquinonePTC Therapeutics米国
臨床第Ⅱ相Sirtuin 活性化MB-12066Yungjin Pharmグローバル
臨床第Ⅱ相Prostaglandin E 産生抑制sonlicromanol (KH176)KhondrionEU・米国・グローバル
臨床第Ⅱ相可溶性 guanylate cyclase 活性化zagociguatTisento Therapeutics米国

出典:MELAS Syndrome: Competitive Landscape, GlobalData, 2024。ROS(活性酸素種):過剰になると細胞を傷つける酸化物質。T細胞の疲弊:免疫細胞が慢性的な刺激で働けなくなる状態。

当社の化合物は研究開発段階にあり、有効性・安全性は今後の臨床試験で確認されます。本ページの内容は医療上の助言を目的とするものではありません。

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